松代藩第六代藩主 真田幸弘(菊貫)の文藝

点取俳諧集

点帖

点帖表紙

点帖表紙

「点帖」は、宗匠(点者)が連句または発句に点を付け、批評を書き加えた帖面。「批点帖」「評点帖」「加点帖」「点巻」などとも呼称する。桝形本懐紙帖が多いが、半紙本、横本、大本などもある。
成立は、およそ次の通り。批点を依頼する側は、作者名を記さず一筆で清書した連句巻または題詠発句集を宗匠に送る。宗匠は、点印と墨・朱筆で点数を付け、必要に応じて批評や添削を書き入れる。批点を終えた宗匠は、奥書に自署、落款を付す。また巻中の高点句を書き抜いて、依頼者に返却する。
依頼者は、手許に戻った帖と点譜を照合して得点を集計、天・地・人などを決定、高得点句の作者名を書き入れる。多くの場合、褒美として最高点の者に点帖が与えられる。

点帖とその集成冊子

大名俳諧の場合、連句一巻を複数の宗匠に批点を依頼する場合が多く、点帖は依頼する宗匠の人数分だけ作成される。たとえば、五十人の宗匠に依頼された場合は、点帖も五十部作成する。真田宝物館の資料には「百評」(百人の宗匠に批点を依頼したということ)や「江戸総評」(江戸中の宗匠たちに批点を依頼したということ)などの例もある。
各宗匠から返却されてきた帖の得点を集計して、最終的な優劣を決定する。そのため、宗匠ごとの点帖を一つに集約し、それぞれに表紙をつけ、巻末に句あげ(集計結果)を記し、それらを原則として興行年次ごとに数巻まとめて記録した冊子が作成された。これを「評点記録帳」と呼称する場合もある(出水叢書12『俳諧集』汲古書院)。真田宝物館に大量に伝来する点取俳諧集『菊畠』は、そうした冊子である。