松代藩第六代藩主 真田幸弘(菊貫)の文藝

翻刻文書

名残裏(ナウ)

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朝静に魚の躍る早瀬川  菊武
 卒塔婆一本萍の蔭  斗涼
康頼か直衣にかへし墨の袖  万年
 見ぬ世の友に灯かゝぐる  菊武
更る夜の琴に鼠の音侘て  太路
 左で針を遣ふ新造  梅足
囁に丈の揃ハぬ段階子  斗涼

 煤掃の日ハ蛮国の形り  万年
寒梅に仮の遷座の一万度  梅足
 まつ酒にしてしハし語らふ  菊武
捕者の手懸り出来し反古の中  太路
 萩の間にひよんな捨物  万年
晴やかな月高々とさし昇
 陸迄上る秋の汐先
作者(連衆)
菊武・斗涼・万年・太路・梅足