松代藩第六代藩主 真田幸弘(菊貫)の文藝

俳諧一枚摺

菊貫の俳諧一枚摺

年次が確定できるもっともはやい菊貫の俳諧一枚摺は、安永三年(1774)「良夜摺物」で、これ以降亡くなる文化12年(1815)の「歳旦摺物」が確認できるので、実に40年以上に及ぶ俳諧一枚摺が伝来していることになる。所蔵先別では真田宝物館の7点、真田家の家老小山田家の6点、早稲田大学雲英文庫の14点を確認することができる。これらに図録『アメリカの3女性が集めた文化・文政の珠玉の摺物』所載(平成12年5月太田記念美術館発行)の2点を加えると、都合29点にのぼる(内、同じものが4点)。
これらは、歳旦・春興一枚摺、秋興一枚摺(明月発句摺物、後の月摺物)に大別することができ、入集者は嵐牙や杉羽、希言・鼎牙・斗涼・柳絮・雲牙ら菊貫の家臣、また菊貫が師事した太初や大舟、さらには田鏡・夜庭・菊堂ら江戸座の宗匠らである。画師は歌川豊広(文政12年没)、花信斎(未詳)と春峨(未詳)などである。いずれも上品な多色摺りで、おおどかな風格を漂わせている。
菊貫の俳諧活動と俳諧一枚摺り出版は、連動しており興味深い。

真田宝物館所蔵の菊貫一枚摺は以下のとおりです(翻刻は当サイト翻刻文書のページ)。

真田宝物館ホームページ図録資料『文人大名 真田幸弘とその時代』でも菊貫の一枚摺が紹介されています。

http://www.sanadahoumotsukan.com/guide/book.php?g=3

 

「良夜摺物」安永3年(1774)

「良夜摺物」安永3年(1774)

「湖上月摺物」安永8年(1779)

「湖上月摺物」安永8年(1779)

「のちの月摺物」天明3年(1783)

「のちの月摺物」天明3年(1783)

「半秋摺物」天明3年(1783)

「半秋摺物」天明3年(1783)

「後月摺物」天明8年(1789)

「後月摺物」天明8年(1789)

「後の月摺物」年次未詳

「後の月摺物」年次未詳

「良夜摺物」年次未詳

「良夜摺物」年次未詳