松代藩第六代藩主 真田幸弘(菊貫)の文藝

点取俳諧集

点取俳諧集

菊貫は、安永初年頃から文化12年までのおよそ40年間、米翁(柳澤信鴻)や華裡雨(細川重賢)などの大名俳人や家臣たちと江戸藩邸や松代城下で、百韻(俳諧連歌のひとつ)を巻いて遊んだ。現在、真田宝物館には、菊貫が一座した百韻をほぼ成立年代順に整理した点取俳諧集『菊之分根』『菊畠』が、約170冊約800巻伝来している。
点取俳諧集は、各冊平均4から5巻の百韻が収載されており、百韻ごとに表紙をもち、それに主催者(興行主)、興行日時、俳諧宗匠名が記されている。百韻の表八句と執筆が詠んだ句を除いてすべての句に得点が付され、短い評語(批点)が記されている場合もある。巻末(句上げ)には、作者ごとに各宗匠がつけた点の合計点が整理されている。

点取俳諧集の内容:菊畠(享和二年)の例

「帙【ちつ】」ごとに竪長の木箱へ収納されている。ひとつの帙には、ほぼ成立年順に4・5冊が収められていて、1冊には百韻連句を平均4・5巻収載している。
掲出した享和2年の百韻は、享和元年(1801,菊貫62歳)の一巻。

帙

帙—書物の損傷を防ぐための覆い。和紙で作る。書帙。

点取俳諧集―俳諧点者(宗匠)に評点をつけてもらって返却された点帖を一冊にして、評点を一覧できるようにまとめて記録した集。幸弘自身が記録した集もあり、多くの場合「御」と表紙に書かれている。

百韻―発句(五・七・五)・脇(七・七)・第三(五・七・五)、第四(七・七)…と続けて、挙句(七・七)まで百句続けて詠む形式。多くの場合、数人で交互に句を詠む。

表紙の説明図