松代藩第六代藩主 真田幸弘(菊貫)の文藝

点取俳諧集

点取俳諧

5冊の内容を記す帙見返し 第一冊表紙『きくはたけ』

発句や連句を点者(宗匠)に見せて、採点(批点・加点)してもらい、その点数を競う俳諧をいう。批点を乞うことは、俳諧の技量向上のために宗匠の指導を仰ぐことになり、加点と同時に句の添削も行われた。批点は古くから行われており、点数の優劣を目的とするものではなかったが、俳諧が大衆化するにしたがって、しだいに人々の興味が点数を競うようになった。
点数を競うことが目的になれば、点数を得るために点者の好みに合わせて作句し、連句一巻の移りや前句との付合よりも、付句一句一句に奇を求めるようになるなど点取主義の道を歩むようになった。
宗匠は一句の出来や前句との付合の良し悪しを採点するので、点者と呼ばれていた。点をつける業(点業)の報酬は、明確ではないが、江戸の点者たちは点業の寡占化を目的として、「江戸座」と呼ばれる宗匠組合を結成した。菊貫が活動していた当時の江戸の俳諧宗匠は、百二十名程であった(文化十年頃成『於之波奈嘉々美(おしはなかがみ)』による)。大名俳人たちは、参勤交代での江戸滞在中ばかりか、帰郷してからも江戸座の宗匠と文通して点取俳諧に遊んだ。大名は、点者たちのパトロン的存在だった。

 

幸弘の点取俳諧集『菊畠』は、当サイトの翻刻文書のページで写真と翻刻テキストの閲覧が可能です。

幸弘の点取俳諧集『菊の分根』は、真田連句をよむ会が『松代』(真田宝物館研究紀要)第24号~に翻刻を掲載中です。『松代』は真田宝物館のホームページで閲覧できます。

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