松代藩第六代藩主 真田幸弘(菊貫)の文藝

和歌集

遺稿集

遺稿集表紙

遺稿集表紙

岩下清酒編遺稿和歌集

藩士岩下清酒による幸弘の折々の歌を集めた類題集。文化13年(1816)。上下二冊。題簽はなく、内題もない。跋文には次のように書かれている。

年ことにをりにふれつゝよみすて給へる御哥おふけなくもおのれ清酒にまかせおき給ひて数つもりぬれはかい写し一巻二巻となしつゝ御もとに奉りぬ猶寛政の七年よりこゐたのも皆あつかり是奉りて既にまたかい改むへきほとの数つもりぬれは凡さる心かまひもなしおける物から去年の葉月公か将くも仰ことさへ御記念となるにて侍れはかしこくもつかへ奉るいとまいとまの折書となしてさゝけ奉りぬ

文字通り折々のもので、題詠歌もあれば、年賀に寄せたものなど、公的なものも私的なものも季題に沿って400首ほど収載。
上には「年内立春」と『新古今和歌集』を思わせる題で「暮てゆく年のこるたにたつ春の色を見せたる梅の一もと」という和歌が掲げられ、寛政7年から文化元年までの詠歌、下には文化2年から亡くなる直前の文化12年の七夕の歌が並ぶ。

遺稿集跋文

遺稿集跋文

定信との贈答歌

文化五年(1808)正月

  定信ぬしより寿ふきの品かす〳〵たまはりしむくひに
  作り松をつかはすとてよみ て
  枝に付ける今年定信ぬしも
  五十年なりけり

浅からぬ恵みいろそふ春に又
君かちとせもいはふ一木そ

  返し   白川少将
立ゐれは我もちとせを契はや
君かめくみのまつの一木に